好きな人がいる。
その人には私に無い素直さがあって、
思いを口に出すことが苦手な私にとって憧れである。
常に周りに人が居て、いつもひとりぼっちの私を“みんな”の中に入れてくれた。
やりたいことはやりたいと言って周囲を巻き込んで形に出来る発信力で、わたしはいつも笑顔になれた。
苦手な人が増えた。
その人は自分の思い通りにならなければ大きな音を立てて怒って、
騒音を避けて生きる私にとって哀傷である。
1人では何も出来ない人で、ひとりぼっちになることを恐れて常に誰かに連絡をとっている。
やりたいことはやりたいと言って自分の力不足に目を向けず、刃物な言葉でわたしはいつも傷付いた。
好きな人がいる。
その人は常に天から物事を見る人で、
だれのことも否定せずに常にわたしを肯定してくれる。
いつも理解が広くて、誰に言ってもわかってもらえぬ私の情緒をにこにこしながら共感してくれた。
怒りの感情がない人で周囲も皆評価していた。初めて分かち合える感覚的な感情で、わたしはいつも笑顔になれた。
苦手な人が増えた。
その人は常に人を見下していて自己愛が強く、
そのくせ自己評価が極端に低かった。
誰に対しでも共感しているふりをして、場面に応じて言うことが二転三転する人だった。
自分の意思が弱い上に、それを優しさと唱えていた。
全てを打ち明けた私にとっては心底裏切られた気持ちになった。
好きな人がいる。
誰に対しても分け隔てなく笑顔で接して、
いつもひとりで居るわたしにも気さくに挨拶してくれる。
こんな私にも興味を持って、色んな方向から話を引き出してくれる。
人と話すことが苦手な私にとって、話題の尽きないこの人は、きっとこの先何年経ってもずっと笑顔でいられると思わせてくれた。
苦手な人が増えた。
簡単に言えばその人は、秘密を守れない人だ。
その人にだけと特別話した事柄も、翌週には私の知らないみんなが知っていた。
噂話は形を変えて、元も子もない話となって、
事実と異なる話でわたしは、孤独なわたしは孤独となった。
好きな人がいる。
頭が良くてスタイルが良くて大きな口で笑う人だ。
みんながその人のことが好きだ。
どんな人かは知らない。
その人も、わたしがどんな人かは知らない。
聞いてこない。
聞かない。